数学のこと

2009年5月19日 (火曜日)

スープベースを作る:数学特別講習

こんにちは.未来大の南部です.


今年も始まりました.数学特別講習


昨年,はじめて取材させてもらいました.

詳しい内容は,そのときの記事

数学のこと(4):もういちどやってみる

をみてね.


「今日から始まるよ」という連絡を受けて

放課後の教室に行ってみたら...


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なんとこの日は教員5名!


対象はおもに,

複雑系科学コース,知能システムコースの2年生と3年生.

5月18日から29日まで,毎日18時10分から(土日をのぞく).


日替わりで,

上野先生,川越先生,斉藤朝輝先生,櫻沢先生,

佐藤直行先生,高橋信行先生,高村先生,村重先生,

由良先生,鈴木昭二先生,ハルトノ先生

が担当します.


以下は,本講習に関する上野先生のコメントです.

(昨年ブログに書くタイミングを逃してしまったけれど,

どうしても書きたいと思っていました!)


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今やっていることは,内容や難易度を「濃さ」で例えるならば,

いろんな料理(数理系以外の科目,続きとしての数理系科目)

になじむような

「薄味」のスープベースを作る(作り直す)こと

に似ているかもしれません.


習熟クラスのなかである学生が,

「いろんな科目は数学でつながっているんですね」

という感想を述べていました.

きっとそれまでは,彼にとって,いろんな科目が

スープなしの具材だったのかもしれません.


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そうか,そういうことなのかと,納得.

バラバラのものを,意味のあるかたちにしていくためには,

つなげるためのベースがとっても大切なのですね.


そして,もっと具体的なメリットをあげるとすると...


本講習の内容は,3つの必修科目に直接的に関係しています.

つまり,中高の数学でつまづいたままだと,3つともヤバイ.

ということは逆に,ここをきちんとクリアすれば,3つともいける.

必修3科目を落とすというキケンを回避することにもなるわけです.


先生方に取材をしていたら,「南部さんも受けてみたら?」と

お誘いがありました.どきっ.


すっかり忘れちゃってるけど,やってみたら思いだせるかしら.

そういえばあの頃,数学ってわりと楽しかったような.


あー,でも,木村先生の芸術論のレポートが,

まだ書けてないんです...まずはこっちから(笑).


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2008年7月14日 (月曜日)

数学のこと(5):道具を磨く

こんにちは.未来大の南部です.


数学シリーズ,なんと5回も続いてしまいました!


考えれば考えるほど,書きたいことがどんどん

増えていって...

気づいたら「ナンブラボブログ」じゃなくて,

「数学ブログ」になってしまいそうな勢いです.


認知心理学が専門のわたしが「数学ブログ」

っていうのはだいぶ無理があると思うので(笑),

とりあえず,今日が最終回.


少し前に,担任クラスの1年生が,

受験前に「未来大は数学ばっかり」というウワサを聞いた,

と教えてくれました.


なかにいると,そんなふうにはまったく感じないのですが,

外からはそう見えるのかしら...


むむむっ,なぜ?


ちょっと気になったので,ほんとうのところはどうなのか,

高村先生に聞いてみました.


それでわかったこと.


(以前のわたしが思っていたような)数学に対する誤解が,

未来大に対する誤解につながっているような気がします.


高村先生が「解析学1」の履修者(1年生)に配布している

「受講ガイド」のなかに,いくつもなるほど,と思う

ことばがありました.


これを読んで,私のなかのもやもやも,すっきり解消(笑).


解析学は,「答えがある問題を解く」ことが目的ではなく,

「未知の問題に挑戦するための道具を正確に使えるように

すること」が目的である.


良く学習すると解析学という1つの学問の論理構造が

わかるようになる.またそれを支えているものが,

自分の手を使って計算した結果であることもわかる.


あぁやっぱり,数学はそれ自体が目的なのではなくて,

世界を知るため,つくりあげるための,

大切な道具ということなんですね.

だから,道具を手になじませるためには,とにかく手を

動かして使い続けることが重要なわけで.


高校までの授業や,受験のための勉強とは,

たぶんまったく違う考え方.

もしかしたら最初は,この違いに面食らうのかもしれません.


あたまを切り替えないと,道具を手になじませる

ということを楽しめない.

楽しめないと,どうしても「数学ばっかり」っていう

とらえ方になっちゃうんだろうな.


でもそれは,とても残念なこと.


せっかく大学に来たんだから,自分が世界と向き合うための

道具を,自分の手でぴかぴかに磨いていってほしいな,

と思うのです.


これって,数学だけじゃなく,大学で学ぶということ

すべてに関係していますよね.

大学で学ぶことを,○をもらうため,単位をもらうため

なんて思っていたらもったいない!


考え方を変えるというのは,簡単なことじゃない.

でも,がっつり大学の数学と向き合っているうちに,

大学で学ぶということの楽しさを満喫するための

基礎体力のようなものが身につくんだと思う.


おっと.


またちょっぴり熱く語るモードに入ってしまいましたが(笑),

もしかしたら未来大生には,

「もう,そんなことわかってるよー!」

って言われちゃうかも.


というわけで,「未来大は数学ばっかり」というウワサに反論.


みんないっしょうけんめい,自分が世界と向き合うための

道具を,自分の手で,ぴかぴかに磨こうとがんばっているのです.


人から与えられただけの,中途半端な道具じゃあ,

楽しむことなんかできないもんね.


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2008年7月11日 (金曜日)

数学のこと(4):もういちどやってみる

こんにちは.未来大の南部です.


これまで3回に分けて,数学のことについて

お話ししてきました.

先日,それを読んだ数学の先生が,

「こんなことやっているから,見においで」

と声をかけてくれました.


それはなにかと言いますと...

「数学基礎習熟クラス」です!


同じ大学にいながら,こういう取り組みがあることを

まったく知りませんでした.ごめんなさい...


「数学基礎習熟クラス」の目的は,

数学の基礎をもういちどじっくりやってみる,ということ.


中学・高校の数学って,意外に手ごわい.

でも実は,大学でもかなり使えるものなんです!


具体的に言うと,

  高校:2次方程式が正確に解けて,その幾何学的な意味がわかる

 →大学:微分方程式,統計論,力学基礎

  高校:文字が入った中学の1次方程式が解ける

 →大学:線形代数,非線形力学

ということになるそうです.


実際のところ,中高の数学に不安を感じたままだと,

大学でさらにその不安が大きくなってしまい,

そのままつまづいてしまうことが多いみたい.


だからこそ,ひとつひとつ自分の手で,その不安を

とりのぞいていくことが大切なんですね.


このクラスにおじゃましてみたら...

いやはや,びっくりというのが正直なところでした.


だって,授業時間外(5限のあと)に,勉強したい人が

集まって,ほぼ1ヶ月間毎日やってるんですよ!


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さてここで問題です.

このなかに,数学の先生は何人いるでしょう?


...正解は,3人!


この「数学基礎習熟クラス」は,講義ではなく

ドリル形式で,参加者のペースで進められています.

そのため,毎日複数の先生が参加して,ひとりひとりに

ていねいに対応しているのです.


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こちらは,上野先生.


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高村先生.

研究室に癒し係のごまちゃんがいる,あの方です(笑).


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そして,高橋信行先生.


なかでも特にいいな,と思ったのは,

雰囲気が明るく,楽しそうなこと.


すべての問題を解き終え,この日で修了したある学生さんは,

「先生とたくさんコミュニケーションできたのがよかった!」

と話していました.


うんうん,ほんとにそうだよね.

先生のほうだって,たくさんコミュニケーションとれるのは

うれしいのですよ!


「これで数学の基礎はばっちり!」って思えるようになる.

たぶんそれが,いちばん大事なこと.


不安がなくなったら,自信が持てたら,

数学の世界はまったく違って見えるんだと思います.


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2008年7月 9日 (水曜日)

数学のこと(3):5分でたのしむ数学50話

こんにちは.未来大の南部です.


数学のこと(1), (2)に引き続き,数学シリーズです.


今日は,もう少しだけ専門的な数学の本をご紹介します.


5分でたのしむ数学50話

エアハルト・べーレンツ『5分でたのしむ数学50話』
(岩波書店)


ドイツの新聞に連載された,数学コラムからの抜粋です.

タイトルどおり,1話はあっという間に読めてしまいます.


ところどころに「うーむ,これは私には難しい」と感じる部分も

ありましたが,身近な題材と明快な説明に,「あ,そうなんだ!」

と驚くことも多く,あきずに,挫折せずに,読み進めることが

できました.


そのなかで,ふむ,なるほど,と思ったところ.


「科学技術が数学なしには機能しない」ということの説明の

なかに,こう書かれていました.


[パソコンにはよくIntel insideなどといった品質保証マークが

ついているが]ほんとうはもっと多くの生産物に「数学inside」

という品質保証マークがついていてしかるべきだ.


「数学,入ってます」


この言い方にはちょっと笑ってしまいますが,

なるほど,そのとおりですよね.


生産物だけでなく,人,社会,環境,なんだって,

数学によってその本質に迫ることができるということ.


せっかく未来大にいるのに,「わたし文系です!」

なんて言っていまだに数学を遠ざけている自分が,

もったいないなぁって思えてきました...


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2008年7月 8日 (火曜日)

数学のこと(2):世にも美しい数学入門

こんにちは.未来大の南部です.


数学のこと(1)に引き続き,数学シリーズです.


今日は,(以前の私のように)数学を遠い存在に

感じている人に向けて,おすすめの本を紹介します.


博士の愛した数式 (新潮文庫)

小川洋子『博士の愛した数学』(新潮文庫)


小説です.映画にもなっていましたね.


記憶が80分しかもたない博士と,家政婦,

その10歳の息子の物語.

数学で世界を切りとる博士に,親子がそっと寄り添い,

あたたかい日々をすごしていきます...


本を読んだときに想像していた「家政婦さん」は

夏川結衣さんのようなイメージだったのですが,

映画では深津絵里さんが演じていて,ちょっとびっくり(笑).


でも,どちらも心から感動できる,とてもよい内容でした.


実はこの小説の前に,こんな本を読んでいました.


世にも美しい数学入門 (ちくまプリマー新書)

藤原正彦・小川洋子『世にも美しい数学入門』
(ちくまプリマー新書)


この2冊を読んで,冷たく近よりがたい感じがしていた数学が,

ふわっとあたたかいもの,身近なものに思えるようになりました.


たしかに,数学って美しい.

それに,この世界に魅せられた人たちのことも,

すてきだと思いました.


おそらくずっと若いころから,

数学は○をもらうための技術ではないということに,

世界を理解し,表現するためのことばだということに,

気づいていたんでしょうね.


そのセンスが,ちょっとうらやましい.


ちくまプリマー新書は中高生向けのシリーズですが,

私の本棚にあった『世にも美しい数学入門』は,

いま実家の父が持ち帰って読んでいます.

大人になってからでも遅くない,そんな気がします.


数学は苦手って思っている人も,ぜひ手にとってみてください.

世界の見え方がすこし,変わるかもしれません.


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2008年7月 7日 (月曜日)

数学のこと(1):世界を理解するためのことば

こんにちは.未来大の南部です.


これから数回に分けて,「数学」にかかわる私自身のこと,

おすすめの本などについて,お話ししたいと思います.


ところでみなさん,数学はお好きですか?


数学って聞いただけで「うっ」ていう気分になる人も,

少なくないかも.

...じつは私も,そうでした.


高校生のとき,数学は,とにかく「やっつけるもの」でした.

正解にたどりついて○をもらえれば,それでいい.

テストでいい点を取れれば,それでいい.


数学の成績は,そんなに悪くはなかったと思います.

(20年も前のことなので,記憶はあいまいですが)


でも,○をもらう技術しか身についていなかったので

(概念を理解するのではなく,ほとんど暗記してました),

テストが終わったら,勉強した内容なんてあっという間に

忘れてしまいました.


大学のときは,文系学部だったこともあり,数学そのもの

からは少し遠ざかっていました.


そして,(あまり大きな声では言えませんが)大学院で

心理学の研究をしているときでさえ,実験データから

意味のある結果をひきだす技術さえあれば十分だ,

それ以上のことはあまり勉強したくない,

そんなふうに思っていました.


つまり,数学なんてどうでもよかったのです.

私の人生になんの関係もない,そう考えていました.


でも...


私たちは,ことば(日本語)によって世界を理解したり,

表現したりする.

それと同じように,数学によって世界を理解したり,

表現したりすることができる.


数学は,○をもらうための技術ではなく,

世界を理解し表現するためのことばなんだ.


そのこと気づいたのは,だいぶ大人になってからでした.


大人になるにつれて,自分自身や目の前のことだけでなく,

もっと「わたしをとりまく世界のこと」や「本質的な何か」を

知りたいと思うようになってきたことが,

背景にあったのかもしれません.


そんなふうに考え方を変えるきかっけとなったことは,

いくつかありました.


次回は,そのうちのひとつ,数学の美しさを教えてくれた本を,

ご紹介しようと思います.


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